「モスキーノ」2020年春夏ミラノ “バービー”の世界へ誘うドリーミーなエンターテインメントショー

ファストフードやスナック菓子のパッケージをモチーフにした痛快なパロディ満載のデビューコレクションも記憶に新しいジェレミー・スコットによる「モスキーノ(MOSCHINO)」。ポップカルチャーをこよなく愛するジェレミーが今季のテーマに選んだのは、ズバリ「バービー人形」だ。今季も彼らしいユーモアを爆発させて、バービーのライフスタイルから着想したドリーミーなコレクションを打ち出している。
超満員の熱気に包まれた会場に、「アクア(AQUA)」のヒット曲「バービー・ガール(BARBIE GIRL)」が流れ、ショーはスタート。音楽に合わせ、ノリノリのモデルがランウェイを闊歩し、笑顔で思い思いのポーズを決める。ファーストルックは、ライダースをアレンジしたクロップドジャケットとタイトスカートのセットアップ。バッグとシューズまでピンク一色でまとめ、ガーリーなムードを盛り上げる。前半は、バービーのフォントで書いた“Moschino”の文字を並べたスウエットやホットパンツをはじめ、ノーカラージャケットのスーツ、パテントレザーのミニドレスなど、いかにもバービーらしいピンクのワードローブを提案。その後も、スパでの装いをイメージしたタオルを巻きつけたようなドレスや、リゾートに行くときの水着などさまざまなシーンを想定したスタイルが続く。中には、ノーカラージャケットのスーツやドレスの上に水着を重ねたようなユーモア溢れるデザインのアイテムもある。ただ、基本はワントーンもしくは同じ柄同士で統一感のあるスタイルに仕上げている。

そこに加えられた巨大化したピースマークやチェーンアクセサリー、レインボーカラーのロゴベルトは、人形と人間のサイズの違いからヒントを得ているよう。また、ライダースデザインのバッグやロゴをのせたチェーンバッグのバリエーションが増えたほか、ハンガーやラジカセ、ハイヒールパンプスなど引き続きユニークなモチーフのバッグを数多くそろえる。

終盤には、大きなリボンやラッフルと部分的にデフォルメされたフォルムが特徴のドレスを披露した。最後に登場したのはピンクのロングガウン。バービーがボーイフレンドのケンとパーティーに出掛けるかのようなスタイルで締めくくった。
ショー前のバックステージでは「バービーを嫌いな人なんているの!?」とコメントしていたジェレミーは、会場の盛り上がりやSNSでのバズを見て、きっと満足していることだろう。そして、キャッチーなテーマで、独特の世界観を描き出す今の「モスキーノ」は、おそらくSNSでシェアしたくなるショーNo.1。観る者を笑顔に変える、ミラノコレを代表するエンターテインメントだ。

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